専門医制度
規約・内規
規約
第1章 総則
第1条(専門医制度の設置)
一般社団法人日本喘息学会(以下本学会)は、気管支喘息及び類縁疾患の診断・治療に優れた医師を養成し、以て医療の向上を図り、国民の福祉に貢献することを目的として、本学会専門医制度を設ける。
第2条(喘息専門医の設置)
一定レベル以上の実力をもち、信頼される気管支喘息診療医を「喘息専門医」として認定する。
第3条(専門医の医師像)
喘息専門医は、医師として幅広い知識と技能を身につけた医師のなかで、気管支喘息及び類縁疾患の病態生理学、分子生物学、薬理学、遺伝学、疫学、症候学、診断学、治療学に関する豊富な知識を有し、重要な専門的検査技術を修得し、豊富な臨床経験を有することに加えて、厳格な倫理に基づいて誠実に職務を遂行することを要す。
喘息専門医を養成するために、日本喘息学会では、日本喘息学会の専門医制度研修カリキュラムを修了し、本学会が行う専門医試験に合格することなどの条件を満たした医師に対して、厳正な審査によって喘息専門医の認定証を授与する。
第4条(専門医制度審議会の設置)
本制度の運営のために専門医制度審議会(以下、審議会)を置き、専門医を認定するための諸制度を定める。
第2章 審議会
第5条(審議会長の選任)
理事会は審議会長を選任し、理事長が委嘱する。
第6条(審議会の構成及び委員の選出)
審議会の構成と委員の選出は理事会の議を経て理事長が委嘱する。
構成内容と任期については細則に示す。
第7条(審議会の開催)
審議会は、委員の過半数が出席しなければ、その議を開き議決することができない。
第8条(議事の決定)
審議会の議事は、出席者過半数の同意をもって決し、また可否同数のときは審議会長が決するものとする。
第3章 専門医の申請ならびに認定医証の交付
第9条(専門医認定申請の条件)
専門医の認定を申請する者は、次の各条件をすべて充足することを要する。
- 医師免許を取得して 7 年以上の臨床経験を有し、本学会の会員であること。
- 本学会所定の研修カリキュラムに従い、喘息診療の実績及び指定する研修実績を有すること。
臨床研修内容の取扱いは、別途定める。
第10条(認定申請の手続き)
専門医の認定を申請する者は、認定審査料を添付の上、次の各項に定める書類を審議会に提出しなければならない。
- 専門医認定申請書
- 専門医認定申請書に記された主な業績を証明する文書
- 医師免許証(写)
第11条(専門医証の交付)
理事長は、資格審査委員会において専門医として推薦された者に対し、審議会及び理事会の議を経て専門医証を交付する。専門医は 5 年毎に更新の手続きをとらなければならない。更新の規定は別に定める。
第4章 専門医の資格の喪失
第12条(専門医資格喪失の要件)
専門医は次の理由によりその資格を喪失する。
- 正当な理由を付して専門医としての資格を辞退したとき。
- 本学会の会員としての資格を喪失したとき。
- 申請書類に虚偽が認められたとき。
- 専門医の更新を受けないとき。
第13条(専門医資格取り消し)
専門医としてふさわしくない行為のあった者に対しては、審議会及び理事会の議決によって専門医の認定を取り消すことができる。
第5章 規則の改廃
第14条(規則改廃の手続)
この規則の改廃は審議会の議を経て、理事会の承認を受けなければならない。
第15条(施行細則の制定)
この規則施行についての細則は別に定める。
附則
この規則の施行に関して、審議会及び理事会によって決定された事項は速やかに本学会機関誌に掲載し、会員に通告する。
令和4年4月5日制定
令和7年1月31日改訂
細則
第1条(専門医制度施行細則の制定)
専門医制度規則の施行について、この規則を定める。
第2条(審議会事務の実施場所)
審議会の事務は、本学会事務局において行う。
第3条(審議会の構成と役割)
審議会は、統括委員会、資格審査委員会、試験委員会により構成される。審議会の委員は理事会の議を経て理事長が委嘱する。統括委員会は、審議会長を委員長とし資格審査委員長、試験委員長、及び統括委員長が指名する若干名の審議会委員によって構成される。統括委員会は専門医制度全般について審議する。資格審査委員会は事務的な資格審査ののち、受験資格および試験合格後は専門医資格を確認する。試験委員会は試験問題の作成および試験実施を担当する。いずれの委員会の提案も審議会の議を経て、理事会で決する。
第4条(委員長の任期)
審議会長、資格審査および試験委員会の委員長は理事長が委嘱する。その任期は2年とし再任を妨げない。
第5条(委員の選任)
各委員はそれぞれの委員長が審議会委員のほか、審議会外の会員の中からも若干名の委員を推薦できるが、いずれの委員も本学会理事会の議を経て、理事長が委嘱する。その任期は2年とし、再任を妨げない。
第6条(欠員の補充)
審議会の構成委員に欠員が生じたときは、当該委員の補充を行う。但し、任期は前任者の残任期間とする。
第7条(認定申請の期限)
認定申請の期限は毎年10月末日とする。
第8条(審査の終了時期)
全ての審査は、申請の翌年の3月末日までに終了することを目途とする。
第9条(資格の発効日)
承認された専門医の資格は、認定の行われた日から発効する。
審査の結果は、理事会の承認を得た上で本学会ホームページに発表する。
第10条(業績の要件)
専門医資格審査に提出する業績には喘息学会総会または研修会に2回以上の出席を含まなければならない。
第11条(診療経験)
専門医資格審査に提出する診療経験の内容及び申告方法は、専門医制度運用内規に定める。
第12条(受験料の納付)
専門医の認定を申請する者は、受験料とし1万円を納付しなければならない。
第13条(認定料の納付)
専門医認定証の交付を受ける者は、認定料として3万円を納付しなければならない。
第14条(細則の変更手続)
この細則の変更は、審議会の議を経て、理事会の承認を受けなければならない。
第15条(疑義の対応)
細則の実施に関して生じた疑義については、審議会の議による。
附則
令和4年4月5日制定
令和7年1月31日改訂
内規
第1章(専門医制度施行における日本喘息学会の考え方)
気管支喘息はもっとも頻度が高い呼吸器疾患のひとつであり、幼児・小児期か ら成人・老年期にまで幅広い年代で発症しうる慢性疾患である。喘息患者数は近 年まで激増してきたが、生活様式の西欧化に伴う特に食事や住居など環境の変化 がもたらしたものと考えられている。一方で、吸入薬を中心とした治療により、 ここ30年で劇的に死亡者数が減少し、非感染性疾患のうち喘息は、本邦において も最も治療が成功した疾患となっている。
しかしながら、いまだに本邦における全身性ステロイド薬の投与を伴う重症増 悪の頻度は100人年あたり40程度と高く、休業などの社会的損失も憂慮すべき状 況であり、また、このような増悪頻度には大きな地域差があることも明らかとな っている。増悪は適切な喘息コントロールにより減少させることが可能であり、 コントロール状態を維持するための治療・管理を広め、また地域差をなくすこと は急務である。
これまで重症喘息に対応する高度の知識と経験が要求される専門医の養成は進 んできた。こうした高度専門医の存在は不可欠であるが、気管支喘息の95%は重 症ではなく、大多数の喘息患者を管理するのは一般医であり、彼らによっていつ でも、どこでもコモンディジーズとしての気管支喘息が適切に診療され、場合に よって高度専門医へ適切につなげてゆくことは、適切な喘息患者管理を行う上で 重要である。
以上のような観点から、一般社団法人日本喘息学会が認証する「喘息専門医」 は、極めて重症の喘息患者を診療できるような高度な能力を担保するものではな く、幅広く喘息の患者を適切に診療できる一般医の能力を担保する、目印として の専門医であり、国民が安心してかかることができる専門医である。
第1条(専門医制度施行内規の制定)
- 一般社団法人日本喘息学会専門医制度規則及び専門医制度細則に基づき、この内規を定める。
第2条(専門医の比率)
- 一般社団法人日本喘息学会に入会している者のうち、喘息専門医資格を有する医師の比率はおおむね 70~80%程度を目標とする。
- ただし、本学会専門医の趣旨から、本学会員となるものは、カリキュラムに基づく喘息およびその周辺全般の学習により、すべていずれ専門医となることを期待する。
第2章(カリキュラム)
第3条(到達目標)
- 専門医資格取得のための研修到達目標を設定する(一般社団法人日本喘息学会 学会専門医制度 研修カリキュラム(以下「カリキュラム」と称する)を参照のこと)
- カリキュラムは医療の発展や医療環境の変化に準拠して、適切に見直すものとする。
- カリキュラムを通じて、日本喘息学会「喘息実践ガイドライン(PGAM)」に準拠した診療が行えること
第4条(カリキュラム以外の項目に関する教育研修)
- 専門医資格取得のためには、カリキュラムに定められたものの他に、以下の項目に関する教育、研修を受けていることが望ましい。これらは他の学会や団体等が実施するもので差し支えない。
「医療倫理」「医療安全」「感染防御」「医療関連法規」「EBM」
第3章(試験制度)
第5条(申請資格)
- 喘息専門医の申請資格は、日本喘息学会専門医制度規則第3章第9条に従う。
- 専門医の認定を申請する者は、次の各条件をすべて充足することを要する。
- 医師免許を取得して7年以上の臨床経験を有し、本学会の会員であること。
- 本学会所定の研修カリキュラムに従い臨床研修を修了した者。
- 本学会の学術大会あるいは気道アレルギーセミナーに 2 回以上参加していること。参加証またはプログラムのコピー等により確認する。
第6条(申請内容の監査)
- 専門医制度資格審査委員会あるいは統括委員会は申請内容について監査することができる。
- 申請者は資格審査委員会や統括委員会から監査請求があった場合には応じなければならない。監査を受け入れない場合及び申請内容に虚偽があった場合には、受験を認めない、あるいは専門医の認定を取り消すことができる。
第7条(筆記試験難易度調整)
- 筆記試験は小児領域、成人領域、基礎領域および併存症領域から、それぞれおおむね10問ずつの計40問により構成される。
- また、一部過去の問題から出題し、その正答率から難易度の微調整を行うことがある。
- 試験後、正答率20%以下の問題、識別指数が0.1未満でかつ正答率60%未満の問題については削除など、試験委員会および統括委員会で対応を決定することがある。
第8条(合格基準)
- 原則として、総合得点で60%点以上を合格とする。
- 合格率90%以上を目標とする。
第9条(不正行為の対応)
- 不正行為を行った者に対しては、試験委員会、統括委員会及び理事会の議決によって専門医の認定を取り消すことができる。
第10条(合格率の公表)
- 合格率および合格者数は公表するものとする。
第4章(更新制度)
第11条(専門医資格の更新期間)
- 専門医は5年ごとに更新する。
第12条(更新の要件)
- 更新には、本学会学術大会(セミナーを含む)に3回以上参加し、知識をアップデートしていることを要する。
- さらに、決められた様式に基づき、症例経験30症例(病名と治療内容は必須)の提出を必須とする。
第5章(その他)
第13条(運用内規の疑義)
- 運用内規の実施に関して生じた疑義については、統括委員会の議による。
第14条(運用内規の改正)
- 本運用内規は、喘息学会専門医制度の社会からの要請及び我が国の専門医制度の現状に即して適宜改正するものとする。
- この内規の改廃は統括委員会の議を経て、専門医制度審議会、理事会の承認を受けなければならない。
- カリキュラムの見直しがなされた際には、すみやかに公表することとする。
- 改正があった際は、修正の次年度からの申請に適応されるものとする。
附則
この運用内規は、令和7年1月31日より施行する。
